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zoom RSS 報告 :失敗した「高速増殖炉」は長期原発廃棄物処分問題の解決にはならない

<<   作成日時 : 2010/03/24 08:16   >>

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 核原料国際会議(IPFM)が2010年2月17日に発表した報告書の概要版を訳しました。

 タイトル「失敗した「高速増殖炉」は長期原発廃棄物処分問題の解決にはならない」で明らかなように、高速増殖炉の見込みの無さについて書かれています。

 そうした世界の流れの中でも、日本の原子力政策は高速増殖炉計画にしがみつき、高速増殖原型炉「もんじゅ」を生き延びさせようとしています。
 
 「もんじゅ」を動かすより、原子力発電を売り歩くより、送電網を公共インフラと位置づけて、再生可能エネルギーの拡大と雇用の確保をめざすことが、持続可能な社会の第一歩だと思います。

 しかし民主党政権にその動きは見られません。

 核原料国際会議(IPFM)は2006年1月に設立され、高濃縮ウランとプルトニウムの蓄積量と貯蔵場所を減らし核不拡散体制を強めテロの危険性を減らすことが目的とされています。

 たま、ここに載せた訳は直訳で分かりにくい点があります。詳しくは(報告全体をご覧ください。
 
 また、岩波の「科学」2010年2月号:特集 プルトニウム科学の現在 で「各国の増殖炉計画の経験と現状から考察 IPFMレポートから 」 (フランク・フォンヒッペル執筆 田窪雅文訳 P.198〜206)があります。

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報告 :失敗した「高速増殖炉」は長期原発廃棄物処分問題の解決にはならない

アメリカ合衆国、日本、ロシア、イギリス、インド及びフランスにより、500億ドル以上使われたが、商業モデル原子炉は造られていない;高額費用、信頼性がない、重大な安全性問題及び増大する危険は全て、使用のための主要な障害と見なされる。

プリンストン、N.J.(ニュー・ジャージ州)−2010年2月17日――「高速増殖炉」−消費されるよりも多い燃料を生成するように設計されたプルトニウム燃料の原子炉−が、長期原発廃棄物処分解決の主要な部分をなすであろうという希望的予測は、フランス、インド、日本、ソビエト連邦/ロシア、イギリス及びアメリカ合衆国におけるナトリウム冷却原子炉のようなものの今日までの惨憺たる記録によって、予測に値するものではないと、核原料国際会議(IPFM)の主要な新しい研究は述べている。

「高速増殖炉計画:歴史と現状」と題されたIPFMのレポートはつぎのように結論を述べている:「(高速増殖炉の)問題は、初期のアメリカの原子力潜水艦の動力を発展させるナトリウム冷却型原子炉に関する経験に基づいた1956年のアドミラル・ハイマン・リッカバー(Admiral Hyman Rikover)の要旨に議論を挑むのは難しい。つまり、そのような原子炉は「建設するのに高額、運用するのが複雑、些細な不調の結果でさえも長期の閉鎖になり易い、そして、修理するのが困難で時間がかかる」のである。

修理に高額費用、しばしば多年にわたる停止期間(日本における15年にわたる原子炉再開の遅延を含む)、多方面の安全性問題(しばしばその中には、単なる酸素との接触によって起こる壊滅的なナトリウム火災がある)、解決不能な増殖の危険性によって、苦しめられてきたが、「高速増殖」炉は既に、アメリカ合衆国、日本、ロシアによってそれぞれ100億ドル以上を含み、開発費用は既に500億ドル以上と言うことが焦点になっている。IPFMのレポートは述べている:「しかし、これらのいかなる努力も軽水炉と経済的に競合できるのに近いところまでの原子炉は造り出していない、60年の歳月が過ぎ、何百億ドルに相当する消費をしたが、増殖炉への期待は大きく満たされないままであり、商業化への努力は、多くの国で、徐々に縮小している」

新しいIPFMレポートは原子炉技術に関しての理解に時機を得た重要な追加事項となる。今日、いわゆる「第4世代」原子炉、そのうちいくつかは高速増殖炉技術を基にしているのだが、その原子炉及び、再利用とその他の廃棄物問題に集中しているオバマの行政会議の両者に注意が増加している中、いくつかの所では、関心が核廃棄物に関する迂回路となる可能性のある方法として、高速原子炉に戻っている。

フランク・フォン・ヒッペル博士(Frank von Hippel)、核原料国際会議の副議長で、プリンストン大学、ウッドロウ・ウィルソン校公共・国際問題教授は言っている:「増殖原子炉の夢は死んでいなくて、遙か未来へと後退している。1970年代、増殖炉支持者は現在に至って、何千基の増殖炉が稼働していると予測している。今日彼らは商業原子炉化はおおよそ2050年であると予測している。その間、世界はその夢の遺産に対処しなければならない;おおよそ、250トンの分離された兵器転用可のプルトニウムと多くの場合は困難であるがずっと続いていく、フランス、インド、日本、ロシア及びイギリスにおける計画」

パリ在住のマイケル・シュナイダー(Mycle Schneider)、エネルギー及び核政策に関する国際的なコンサルタントは言っている:「フランスは、スーパー・フェニックスと共に核の歴史の中で唯一の商用サイズプルトニウム燃料増殖炉を建造した。終わりのない費用のかかる技術、法制及び安全性の問題の後に、核の歴史の中で最悪の稼働記録の1つを持って1998年に閉鎖された。

トーマス・B・コッチラン(Thomas B. Cochran)、核物理学者で天然資源保護会議の核計画における上席科学者は言いました:「高速増殖炉発展計画は、1)アメリカ合衆国、2)フランス、3)イギリス、4)ドイツ、5)日本、6)イタリア、7)ソ連/ロシア、8)アメリカ海軍、9)ソビエト海軍で失敗している。インドにおけるその計画は全く成功の兆しがない。中国における計画は開発のごく初期段階にすぎない。高速増殖炉の開発は1944年に始まったにもかかわらず、現在65年経過していて、世界で438基の稼働中の原発のうち、たった1つのロシアのBN−600が商業サイズの高速炉であり、それは成功した増殖炉としての資格はほとんどない。ソ連/ロシアは燃料サイクル決して止めていないので、BN−600にプルトニウムを燃料として入れなければならない。

M.V. ラマナー(Ramana)博士、ウッドロウ・ウィルソン校及びプリンストン大学の科学、技術、環境政策計画の招聘研究者は言いました:「ロシアと共に、インドは現在商業規模の増殖炉を建造中で2国のうちの1つである。しかしながら、原子炉計画の歴史及び経済性と安全性の特徴の両方とも、当初考えられていて、現在も求め続けている予測を満たさないことを示している。増殖原子炉は常に開発のために必要な安い電気の増大する量についてDAEの主張を実証した。今日、その計画が宣言されてから50年以上が経過して、その予測はまだ満たされていない。どこにおいても、増殖原子炉は安全ではなく、費用のかかる傾向にあり、全般的発電への貢献はせいぜい控えめのものである。

他の主要な成果

IPFMのレポートは次のようことを見いだした:

・増殖原子炉の理論的根拠は、もはや健全なものではない。「増殖炉を目指す理論的根拠は――時に明白である、時に暗黙的である――次のような主要な仮説に基づいている。1.ウラニウムは少なく、高品質鉱床は核燃料発電が大規模に配置され動くならば急速に減少するであろう;2.増殖原子炉は現在の主流の原子力発電である軽水原子炉と急速に経済的に競合できるようになるであろう;3.増殖原子炉は軽水炉と同様に安全で信頼できるものになりうるであろう;4.核物質が増大する危険は増殖炉によって止まり、その‘閉じた’燃料サイクルは、プルトニウムを再利用し、維持できるであろう。これらの仮説は各々が誤っていることが証明された。

・重要な安全性問題が未解決。「ナトリウムの最も不便なことは、水と激しく反応し、空気に曝されると燃えることである。蒸気発生器は溶解したナトリウムと高圧の水が薄い金属によって分けられていることが、増殖原子炉の1番やっかいな特徴の1つである。いかなる漏れでも、配管を破裂させる反応があり、重大なナトリウム−水反応による火災が生じる・・・建造された液体ナトリウム冷却原子炉の大きな部分がナトリウム火災によって長期間閉鎖さてきた。後続のBN−600原子炉は蒸気発生器が、ナトリウム−水による火災を含む分離された燃料庫に置くように設計され、又、別の蒸気発生器が置かれていて、火災によって損傷を受けた発生器を修理している間、もう1つの蒸気発生器を作動させて、原子炉を継続して動かすことができるのである。1980年と1997年の間、BN−600は、27回のナトリウム漏れがあり、そのうち14回ではナトリウム火災が起こっている・・・配管から空中への漏れも又、重大な火災をもたらす。1995年、日本の原型増殖原子炉もんじゅは重大なナトリウム−空気火災を経験した。再開は何度も遅延している。2009年末において原子炉はまだ停止中である。フランスのラプソディ(Rapsodie)、フェニックス(Phénix)及びスーパーフェニックス(Superphénix)増殖原子炉及びイギリスのドウンリー(Dounreay)高速原子炉(PFR)は全て、重大なナトリウム漏れに苦しめられ、いくつかは重大な火災が生じている」

・停止期間が増殖炉を信頼性のないものにしている。「・・・ナトリウム冷却実証炉の大部分は、電気を作り出さなければならない大部分の時間において停止している。問題のナトリウムに浸されている原子炉のハードウェアの維持と修理の困難性である。空気をナトリウムと接触させないようにする必要性は水冷原子炉に対するよりも、原子炉容器内部の燃料注入及び修理をより複雑で過去のものとしている。修理中は燃料は取り除かなければならず、ナトリウムを除去して爆発しないように注意して中のナトリウムを除去するために、全てのシステムを洗浄しなければならない。そのような準備は何ヶ月も何年もかかることがありうる。

・増大する危険性が対処されていない。「 全ての原子炉は燃焼においてプルトニウムを生成するが、増殖炉はプルトニウムのリサイクルを要請される。使用済み燃料の中の有毒な放射性核生成物の中からプルトニウムの分離が必要である。このことは、プルトニウムをより、核兵器製造の可能性のある者の接近をもたらすからである。増殖原子炉−及び増殖原子炉用の起動燃料を供給する通常の原子炉の使用済み燃料からのプルトニウムの分離−は、従って増大する問題を生み出す。この事実は1974年に劇的に明らかになった。それはインドが‘平和利用核爆発’を行う増殖原子炉のプログラムのために分離した最初のプルトニウムを使った時であった。増殖炉自体、又、兵器のためにプルトニウムを生成するのに使われてきたのである。フランスはフェニックス増殖原子炉をアメリカ−インドの核協定の一環として、国際的な安全管理下に置かれることを拒否しており、同じことをする問題が生じている」

・たいていの増殖原子炉は閉鎖されつつある。「ドイツ、イギリス、及びアメリカ合衆国は、増殖原子炉開発計画を断念した。その高速中性子原子炉は最終的にフランスの軽水炉の使用した燃料においてつくられるプルトニウムを増大させるであろうというフランスの核企業体のアルバ(Arba)による議論にもかかわらず、フランスの唯一稼働中の高速増殖原子炉フェニックスは2009年3月には電気網からはずされ、その都市の終わりまでには永久停止となる。スーパーフェニックスは世界最初の商業サイズの原子炉であるが、1998年に断念され、現在退役中である。少なくとも10年間は後続の増殖炉はフランスでは計画されていない。

IPFMの全文は http://www.fissilematerials.org on the Web. にある。

IPFMについて
核原料国際会議(IPFM)は2006年1月に設立された。それは、核兵器及び非核兵器の国を両方含んでいる17ヶ国からの軍縮及び非増大の専門家の独立したグループである。IPFMの使命はウラニウムとプルトニウムの非常に豊富な備蓄を安全にして、強固にして、減らすことを主導的に実用面や達成可能な政策のための技術的基礎を分析することにある。これらの核原料は核兵器の中心となる原料で、その制御は核兵器の増大を止め、テロリストが核兵器を獲得しないことを保証して、核軍備縮小にとって重要である。

IPFMはニューデリーのジャワハルラル・ネルー大学のR.ラジャラモン(Rajaramon)教授と、プリンストン大学のフランク・フォン・ヒッペル教授の両名が議長をしている。そのメンバーにはブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、アイルランド、日本、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、イギリスそしてアメリカ合衆国の核の専門家が含まれている。プリンストン大学の科学及び世界規模の安全に関するプログラムはIPFMに対して、行政及び研究援助を供給している。シカゴのジョン・D(John)及びキャサリン(Catherine) T ・マッカーサー(MacArthur)基金からのプリンストン大学への5年間の助成によっている。

連絡

編集者のノート EDITOR'S NOTE: A streaming audio recording of IPFM's news event will be available on the Web as of 5 p.m. EST/2200 GMT on February 17, 2010 at http://www.fissilematerials.org.


----------------終わり-----------------

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