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zoom RSS 東京新聞2017.1.27 特報 東芝蝕む「原発」赤字 焦げ付けば国民にツケ 政府投銀援要請へ

<<   作成日時 : 2017/01/29 13:11   >>

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東京新聞 2017.1.27特報

東芝に留まらない 海外展開する日本の原発企業リスク  

 日立
ドイツの電力会社からイギリスの「ホライズン・ニュークリアーパワー」を買収。
   英国中部ウィルファなど二ヵ所で計四〜六基を建設する計画を引き継ぐ。
   ここに政投銀と、同じく政府全額出資のJBICによる一兆円規模の融資が検討。
   昨年末、英ピジネス・エネルギー・産業戦略相と、世耕弘成経産相が、
   原子力分野で協力する覚書きを交わした。

 三菱重工
トルコで仏・アレバと合弁会社を設立し、原発四基を建設する計画。

 東芝
ブルガリアで子会社のWHが原子炉の増設計画を進める。インドへの原発輸出も?

 世界がもてあましている原発や原発企業を、安倍政権が「成長戦略」ともてはやし、政府系銀行に支援させ、ツケを国民に回そうとしている。

 福島第一原発事故に対する東京電力の責任を棚上げして、後始末を電気料金や託送料金、その上税金で尻ぬぐいしようとしてる姿勢と同じ。 

東芝蝕む「原発」赤字
損失最大7000億円


 東芝が米国での原発事業で、最大で7000億円の赤字を出した。原発はやはりビジネスとして割に合わない。だが、東芝は原発から撤退しないようだ。その一方で、政府系の日本政策投資銀行(政投銀)に支援を求める。焦げ付いたら、また国民につけが回る。政投銀は国際協力銀行(JBIC)とともに、日立の英国での原発事業に融資する話も出ている。赤字の恐れがある海外の原発事業に、公金を投入するのはやめるべきだ。(池田俤−、白名正和)


 東芝が七千億円規模の損失を出すことになった元凶が、原発建屋の建築などを手がける企業「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」だ。米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリツク(WH)が二〇一五年十二月に買収し、東芝の傘下に入った。
 ○六年、東芝はWHを子会社化し、米国の原発市場に乗り出す。当時、温暖化対策で、火力発電の代替として再び原発が注目されていた。だが、流れは一一年の東京電力福島第一原発事故で一転する。米規制当局は、全電源喪失などに耐える安全対策やテロ対策を求
め、「コスト増」が事業者にのしかかってきた。

 そんな中、米国で原発の新設を請け負っていたWHが、建屋建築を発注したS&Wとの問で、コスト増の負担を巡ってトラブルになる。工事が遅れて負担が膨らむ悪循環に陥り、WHが採った解決策がS&Wの買収だった。
 決断は大きな問違いだった。買収額が「ほぼゼロ」というのが、既にあやしい。S&Wはこの時点で、巨額の負債を抱えていたようだ。
(写真の説明)
会見で巨額損失の可能性につい話す東芝の綱川智社長=先月27日、東京都港区の本社で

米企業買収経営判断に甘さ
 先月二十七日、東芝の綱川智社長は数千億円の損失を公表した。この日の記者会見で、原発事業担当者はS&Wの資産査定について「十分に確認した」と述べたが、当時、不正会計や大規模なリストラで混乱を極めていた時期でもある。不十分だったのではないか。

 かつて東芝で原子力プラントの設計技術者を務めた後藤政志氏は「東芝は事業の主力に原子力を据え、福島事故後も突き進んできた。WHとS&Wのトラブルに焦り、十分に検討することなく買収にゴーサインを出したのだろう。経営判断が甘いと言わざるを得ない」と批判する。

               
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 「もともと東芝の原子力部門は、海外ビジネスに精通しているわけではない。その上、S&Wは本業とは縁の薄い建設会社だ。そういった弱みが重なったことも、貧乏くじを引くはめになった一因だろう」

 東芝は「膨大なデータに基づく検証作業が必要で精査に時間を要している」ため、損失額の確定は来月十四日と説明する。


 米企業買収 経営判断に甘さ


 それにしても、東芝はWHについても企業価値を過大評価し、昨年、約二千五百億円の損失計上を迫られている。今回も評価を誤ったわけだが、なぜそんなに甘いのか。

 経済ジャーナリストの磯山友幸氏は「東芝がWHの経営陣をコントロールできていないことに根本的な問題がある。S&Wの買収も、WHの言うままに踏み切ったのだろう。だからS&Wがどんな建設工事を手掛けているか、実態が十分に把握できておらず、損失額もなかなか固められないのではないか」と推察する。

 「福島の事故を機に世界の原発事業の流れは変わったのに、東芝は積極姿勢を取り続けた。環境の変化に目をつぶり、経営陣が『チャレンジ』とハッパばかり掛けるような会社だ。経営の甘さのツケが回ったのでは」と突き放す。


焦げ付けば国民にツケ
 
 政府系銀行に支援要請へ

           
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WHが建設するポータル原発3、4号機 後方は稼働中の1、2号機−2013年8月、米ジョージア州ウェインズボロで(共同)

              
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決算期末の三月の時点で、負債が資産を上回る債務超過に陥った場合、東芝は東京証券取引所第一部から第二部に降格となる。
 
  「降格になれば、市場は盛りを過ぎた時代に合っていない企業だとみなす。再生も難しくなる」と、経済ジャーナリストの町田徹氏は指摘する。

 東芝は取引のある銀行に支援を求める。半導体事業を分社化して株式の20%程度を売却し、二千億〜三千 円を調達する形になるようだ。この株式取得に政投銀が関わると、市場関係者たちはみる。政投銀に尋ねると、広報担当は「個別企業との取引についてはコメントできない」と話した。

 町田氏は関係者の話を基に、内情をこう説明する。「ある銀行は、経済産業省から(政投銀に出資させるから、追加融資をして救ってほしいいとプレッシャーを受けている。だが、銀行側は本音では、資本注入が不調に終わることを望んでいる。不良債権化が確実と
みられる東芝への追加融資を避けられるからだ」

 昨年末の時点で、東芝の金融機関からの借入残高は一兆一千億円弱。回収するため、追加融資で東芝を延命させる選択肢もあるが、「バブル期ならそういう選択もあっただろうが、今は自分たちの傷をこれ以上深めないよう追い貸しは避ける」と町田氏は言う。

  リスク抱えた輸出戦略「見直すべき」 

  原発事業における東芝の傷は深い、と多くの銀行は分析しているのに、政投銀が出資をして大丈夫か。

 原発事業に絡む政府系銀行の関与は、東芝にとどまらない。安倍政権は原発輸出を成長戦略の一つに位置付けており、企業を積極的に支援しようとしている。

 日立は一二年、ドイツの電力会社から、英国の「ホライズン・ニュークリアーパワー」を買収した。英国中部ウィルファなど二ヵ所で計四〜六基を建設する計画を引き継ぐ。この事業に、政投銀と、同じく政府全額出資のJBICによる一兆円規模の融資が検討されている。昨年末、クラーク英ピジネス・エネルギー・産業戦略相と、世耕弘成経産相が、原子力分野で協力する覚書きを交わした。
 その後、話は進んだのか。JBICの広報担当者は「個別の案件には答えられない」としている。

 ほか、トルコで、三菱重工業がフランスの原子力大手アレバと合弁会社を設立し、原発四基を建設する計画がある。ブルガリアでは、東芝子会社のWHが原子炉の増設計画を進める。今後、原子力協定を結んだインドへの原発綸出が検討されるだろう。

 だが。コスト増に加え、市民の反発により、海外でも原発建設は容易ではない。リトアニアでは、日立が原発建設を事実上受注していたが、昨年の選挙で野党「農民・グリーン同盟」が勝利し、前途は多難だ。ベトナムでも昨年。安全対対策の高さから、日本の原発導入が白紙撒回された。原発輸出にはさまざまなリスクがあるため、政府系金融機関が融資をするというわけだが、それでいいのか。

 「原発輸出を戦略として掲げている以上、政府系金融機関による支援は間違いではない。ただし、公金が原発輸出時にも使われていることは、もっと国会などで議論されるべきだ」と、一般社団法人「環境金融研究機構」の藤井良広代表理事は指摘する。
 藤井氏は「そもそも、原発輸出が政策として良いか議論が必要だ。東電と東芝という二つの大企業が原発でしくじり、原発はピジネスにならないことが示されている。それなのに国が政策として推進し、公金を投入し続けることについて、広げて考えなけれぱならな
い」と指摘した。

 ディスクメモ
福島の事故後、市民の反対で、国内では原発の新設をできない状況なのに、日本の企業が海外で原発を造ること自体、おかしい。それでも企業が海外で受注を目指すというのなら、その動きは止められないが、資金は民間の銀行から借りればいい。国民の税金に頼るな、
と言いたい。(文)2017・1・27



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